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Frosty Night(逝くなら霜夜に!)

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この地球に生まれてきた訳は、確かな信念を持つために、制約された条件の中でひとつのことに邁進し、思いを具現化させるため

若いもんには負けてくれ

今朝、母から電話があった(実はこの間の記事の後、こちらから電話していなかったりする)。
正月用の餅をついたから送るよ、だってさ。
たぶん、キンピラとか煮豆とか紅白なますとかも送られてくるのだろう。
年末年始は実家に帰ろうかとも思ったのだが、30日まで仕事があるのでやめておいた。
正直、休みになったらなにもせずに寝ていたい。

「だったら実家に帰ればゆっくりのんびりダラダラできるんじゃない?」
などと思ったあなた。
チッチッチッ!
実家に行ったら、緊張の連続で、片時も心の休まる暇なんてないんだな、これが。

子供のころから
「本なんか読んでる暇があったら手伝え!」
「テレビなんか見て笑ってるなんていい気なもんだ!」
などと、忙しい母に怒鳴られていたので(いや、もちろんいつもじゃないんだけど、頻繁に)、母の気配を感じると条件反射的に身体が動いて掃除とかをはじめてしまう。
たぶん、昔ほど忙しくも怒りっぽくもなくなった今の母なら、たまに来る娘がダラダラしていても怒らないとは思うが、三つ子の魂百まで。。。というわけで、つい母の顔色を伺ってしまう悲しい習性。
もう41歳だっていうのにさ、なんか情けない話だよ。

そうだな、例えて言うなら子供のときからシルバーシートに座らされ続けている気分だ、とでも言おうか。
以下、妄想。。。。。。。

------電車に乗る母子
母「あんたは椅子に座ってなさい。小さいんだから。でもお行儀よくするのよ。足をブラブラさせてはいけません。靴のまま椅子に乗ってもいけません。まわりの人に迷惑をかけないで。ホラっ、居眠りしたら隣の人にぶつかっちゃうでしょ。きちんとしなさい。お年寄りが来たら席を譲るのよ。」

娘「はい、おかあさん。言うことを聞くから怒らないで。」

母「お母さんは怒ってなんかいませんよ。あんたのことを思って言っているの。いいこと。あんた達は恵まれているのよ。お母さんがあんたくらいのときには、椅子なんかなかったんだから。戦争でいつ死ぬかもわからなかったんだから。平和な世の中に感謝して、一生懸命勉強して、立派な人になりなさい。」

------あれから10年
娘「はい、おかあさん。でも私、もう小さな子供じゃないから、立ったほうがいいんじゃない?」

母「いいのよ、別にお年寄りが目の前に立っているわけじゃないんだから。それより前の席に座っている宏君(仮名)より、勉強を頑張りなさい。これからは女だって社会に参加できるのよ。本当にいい時代になったわね。お母さんたちが味わった女であることの屈辱を、あんた達が頑張って晴らしてね。」

--------さらに10年
娘「はい、おかあさん。でも私、宏君が好きなの。あっちの席に移ってもいい?」

母「なにバカなことを言ってるの。宏なんかより、もっといい条件の男がいるわよ。お母さんが年ごろの頃なんて、結婚相手の男だっていなかった。もしも男が戦争であんなにたくさん死んでなけりゃ、あんたのお父さんとなんか結婚しなかったのに。あんたには、こんな苦労はさせたくない。だから宏はやめなさい。もっと条件のいい人じゃなけりゃ、幸せにはなれないわ。」

--------さらに10年
娘「はい、おかあさん。でも幸せな人生ってどんなの?」

母「さあね、そんなの知らないわ。なにせお母さんの人生は苦労の連続。我慢の一生。いいのよ、私が我慢すればみんな幸せなんだから。」

---------さらに10年
娘「はい、おかあさん。でも私、なんだか辛いの、苦しいの。ちっとも幸せな気分じゃないわ。」

母「なに贅沢を言ってるの!ずっと座って大学まで出してもらって、きれいな洋服を着てチャラチャラ遊んで、いったいなにが不服だっていうの!私なんかもっともっと苦労したのよ。あんたにはそんな思いをさせたくないと思ったから・・・」

---------さらに10年
娘「いいえ、おかあさん。あなたはすっかりお年寄りになったのよ。お年寄りには席を譲らなくちゃ。さあ、どうぞ。」

母「冗談じゃないわ。私を年寄り扱いしないで頂戴。まだまだ若いもんには負けられない。確かに白髪は増えたけど、私の骨年齢はあんたより若いのよ。鍛え方がちがうからね。」

娘「いいえ、おかあさん。私はここから立ち上がって、自分の人生を歩くの。」

母「勝手にしなさい! そんな子に育てた覚えはないわよ、お母さんの言うとおりにしなかったら、どうなるか知らないわよ。」

娘「いいえ、おかあさん、そんな呪いの言葉にはもう縛られない。たとえあなたの夢描いたような人生じゃなくても、私は自分の足で歩きたいの。自分の身体で転んで、自分の力で立ち上がりたいの。いままで守ってくれて、感謝してる。でもお母さんは、自分ができなかったことを私で叶えようとしただけ。私がお母さんの人生を生きなくちゃいけなかったら、私の、私自身の人生はどうなるの? 私はあなたの分身じゃない。お願いだから、もう邪魔をしないで。」

娘立ち上がって、よろよろしながらも自分の意思で電車を降りる。




情けない話を、最後は少し勇ましくしてみた。
ちなみにこれはフィクションです。
実在する人間とは関係ありませんので、ご了承ください。
by linket | 2006-12-26 19:30 | ●母と仲良くしたいけど

この地球に生まれてきた訳は、確かな信念を持つために、制約された条件の中でひとつのことに邁進し、思いを具現化させるため


by hami