ようやく秋深し・・・
育った地域にイチョウの樹はなかったので、未だにこの黄金色の立ち木の前では、あったことのない異星人に見惚れてしまったような気分になる。
昭和通沿いの小さな公園は、排気ガスもひどかろうに、こんな見事な姿を惜しげもなく披露してくれる。
ありがとう。
来年の春まで、忘れないでおくよ。
桜の季節もそうなんだけど、紅葉の季節になると、
あと何回、この季節にめぐり合うことができるだろう・・・とつい考えてしまう。
それは永遠ではなく、一万回という莫大な回数でもなく、本当にあと数十回なのだ。
たとえば私が120歳まで生きるとしても、あと80回。
平均的なことで言えば、あと40回程度というわずかさ。
そんなことがわかっていて、わかりきっていて、つい日々の生活を昨日から明日へつづく限りない退屈な繰り返しなんて思ってしまう。
そんなエンドレスな日常を切り裂くように、ドカンと桜が咲いて、ガツンとイチョウは色づく。
いつも同じ景色で、同じ空気で、同じ花が咲いているような場所だったら、きっとすぐに飽きてしまうんだろうな。
四季のある国に住んでいることが、私はうれしい。
さまざまな考えをする人がいることが、私には興味深い。
みんなそれぞれが異なっていることを、ゴックンと飲み込めるような自分でいたい。