Frosty Night(逝くなら霜夜に!)

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この地球に生まれてきた訳は、確かな信念を持つために、制約された条件の中でひとつのことに邁進し、思いを具現化させるため

生まれてくれてありがとう!

トラバさせていただいたのは、倫子さんのお嬢さんの愛が足りないけどにせものじゃダメだよ話。

c0007384_935582.jpg私はずっと親(特に母親)には、嫌われていると思っていた。
別に虐待を受けたとかではないのだけれど、愛されているという実感を持ったことがない。
多分小学校の頃だったと思うが、母と昼メロを見ていたら、こんなシーンに出くわした。

「ねぇ、ママ、私のこと愛してる?」
と子役の女の子がいい、
「もちろん、愛してるわよ」
と母親役の女優さんが返す。

私は間髪入れずに、ずっと口にしてみたかったことを母にぶつけた。
「ねぇ、私のこと愛してる?」
母は、やや大げさに
「愛してるよ」
と言った。

ああ、あの時の居心地の悪さ!
いま思い出しても背筋がゾゾッとするというか、チョコレート食べたら銀紙も一緒にかんじゃったよ、ザリッ!みたいな違和感がある。
母は別に嘘をいったわけではないと思うが、私には母の言葉が嘘くさく聞こえてたまらなかったのだ。

自分が22歳で母になったとき、私はすべてを注ぎ込んで一生懸命に子育てをした。
もっとも育児書や本やドラマで、小さなか弱い生き物をどうやって世話したらいいかの情報はいくらでも手に入ったけれど、『慈しむ気持ち』みたいなものがどうしてもよくわからず、わからないから情報を頼りに完璧な子育てを目指していただけのように今は思う。

 ・赤ちゃんのためにも環境のためにも紙おむつを使わず布おむつ(私って偉い?)
 ・(体重の増え方が少ないと保健婦さんに言われようと!)絶対なにがあっても母乳育児
 ・食べ物は無農薬野菜やall天然物(夫には嫌がられたな)
 ・着る物は母の手作り(貧乏だったせいもあるが)
 ・胎教は(聞いたこともない)クラシック音楽
 ・寝る前は本の読み聞かせ(できないときのための自作カセットも吹き込んだ)

こんなことしてたら、ぶっ壊れるよな・・・バカだね、昔の自分。
こんなバカ親に育てられたにもかかわらず、娘はほんとにすくすくと育ってくれた。
それにしても、私には娘がなぜこうもひねくれたりせずに毎日生きているのか、全然わけがわからなかった。
それに比べて、私は相変わらずひねていた。

娘が中学生になった夏休みのことだ。
部活動の練習に連日出かける娘に、私は弁当を作らねばならなかった。
鬱で体調もすぐれず、仕事やPTA役員も忙しく、毎朝早起きして弁当をつくるのは、私にとって苦行以外のなにものでもなかった。
そんなにいやならコンビニ弁当でも持たせればいいものを、それを許したら堕落の坂を転げ落ちてしまうような危機感があってどうしてもその一線が越えられない。
義務感だけで作った(というか、ほとんどは冷凍食品をチンして詰め合わせた)だけの弁当を、娘は必ず
「ありがとう!」
と優しく言って持っていく。
私はそれがイヤで仕方がなかった。

こんなテキトーな弁当に、そんな特別の笑顔で「ありがとう!」なんて言わないでよ!
昔母親に「愛してる?」って聞いちゃったときみたいな違和感がたまんないんだよ!!
相当、ねじれている私。

それでも娘は毎日「ありがとう!」とほほえんでお礼を言う。
ときには私の顔色をうかがって、遠慮がちながら「ありがとう!」と言う。
私は罪悪感さえ抱いて、毎日その「ありがとう!」爆弾をやり過ごす。

そしてついに、娘が勝利する日が来る。
ある日、私はいつもの娘の「ありがとう!」攻撃に、突然なぜか涙が止まらなくなってしまった。
ごめんねとありがとうがごちゃ混ぜになって、とうてい言葉で説明できる状況ではない中、娘にお弁当を持たせて送り出し、号泣した。

私は、愛するってことがどういうことか知らなかったのだ。
条件がよくなければ、愛される(赦される)はずがないと思い込んでいたのだ。
パーフェクトな母でなければ、子どもに愛されないと思っていたから、鬱っぽく、冷食チンの弁当を持たせるような自分が子どもから赦されてはいけないのだと信じていた。
それは自分がパーフェクトでなければ親から愛されないという子どものころの誤解から生じており、もっとさかのぼれば、私の母自身もパーフェクトでなければ、愛し愛されないという価値観で生きていたことの連綿とした結果でもあった。

私は娘のたゆまぬ愛があって初めて母もどきになれたという失格母なのである。
娘よ、本当にありがとう!
生まれてくれてありがとう!
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by linket | 2005-09-02 09:36 | ●母と仲良くしたいけど

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by hami