自分の歌をうたいつづけよう!
幸せなお話だった。
他の人が読んだら、
「どこが幸せなの!?」
とイライラするかも知れないし、わけのわからなさに不安に陥るかも知れないが。
訳者の村上龍が、あとがきのなかで、リチャード・バックの言葉を次のように紹介している。
「人間が学校というフェンスを出ると、そこは、ドラゴンワールド(現実の、悪意に充ちた世界)なわけだ。
地球上には三十億だか、四十億だかの人間がいて(注:この本は1981年第1刷)、おまえはその三十億プラス一の余り者にすぎない、おまえのことなんか誰も関心を持っていやしない、生きていようと死のうと、こっちの知ったことか、みたいな扱いを受けることになる。
ある人間がだめになるというのは、そういうことなんだよ。
どうやってそれに対抗するかといったら、やっぱり自分の歌をうたい続けることだと思うね。
『うるせえ、おまえのその変な歌をやめねえと張り倒すぞ』
かなんか言われて、それでだめになっちゃうことだってあるけど、張り倒されても、まだ歌いつづけることだ。
もちろん、ドラゴンワールドにあっては、明日の飯代をどうしよう、今日の部屋代をどうしようなんていうわずらいもある。
それはしようがないから、思いわずらい、駆けずり回りながらでも、自分の歌だけはうたい続けるわけだ。」
そうなのだ!
「のんきに歌うたって生きていけるわけねぇだろっ!」
と、誰かの八つ当りを受けて張り倒されても、張り倒された私に友人が
「また張り倒されるのをみたくはないから、歌うのを辞めなよ!!」
と言っても、私はうたい続けよう。
心がザワつくこんなときこそ、丁寧に丁寧に、やさしく愛を込めて、ゆったりと伸び伸びと、私の歌をうたい続けよう。