濃茶の味がわかるようになりたい
数か月前、『濃茶』という言葉を知って、「どんなの?どんなの?」と電話で質問ぜめにしたので、ならば実際に飲んでみたら?という話になったのでした。
濃茶は寒い時期しかいただかないそうで、本当なら卯月ではもう遅いのかもしれませんが、今年は寒いからその辺は大目にみていただくこととして。
お茶をちゃんといただくの、始めてです。
濃茶って、高い抹茶をたくさん使うので、コストが高いらしいとリクエストした後で知り、ちょっとビビる庶民の私。
姉はそんなことおくびにも出さず、凛としてお茶を立ててくれました。
長年の鍛錬によって磨き抜かれた所作の一つ一つに見惚れてしまう。
姉さん、素敵です。
で、濃茶の味はどうだったかというと、正直、よくわかりませんでした。
たぶん、一回味わったくらいじゃ、味わえない味なのだと思う。
ただ、「ああ、お茶の葉の味って、こういう味だったんだ」と、人生で初めて深く意識しました。
「どうしてお茶の葉は、葉っぱの味じゃないんだろう? 葉っぱなのに。」
という素朴な疑問。
山育ちなので、その辺の葉っぱを生で齧るとか、ワイルドな味覚を培ってきているはずなのですが、お茶の葉の味は、もっと繊細で、青臭さがないのですよ。
「だって、それなりに手を掛けているもの。日よけをつけて直射日光に当てないようにしたり。」
と、姉。
そうか、お茶の葉って、自然の味ではなくて、人が創りあげた味なんだ。
人が魂込めて創り上げる『茶』という芸術品を、魂を込めていただく。
それが茶道なんだ。
話はちょっとずれますが、先日、スリランカティーの超特級茶葉というのをチョピっといただきました。
チョビっとだけど、買えばン万円はするらしい。
細かくて、産毛にびっしり覆われた茶葉は、私が普段飲んでる紅茶の茶葉と同じものとは思えないいでたちで、「えっ? これ、ほんとに紅茶?」と、ちょっと疑う。
疑いつつも、煎れてみたところ、これがもう、悶えるくらいにおいしかったのですよ。
王室御用達茶葉だそうで、一般庶民の私なぞが、安いティーカップでいただいて申し訳ありません!
部不相応なので、もう一回いただきたいなどとは申せません。
人生で、一度でも味わえただけで感謝感激です!!
と涙ぐみながら、もったいなくてチョビリチョビリといただいていたのですが、一緒に飲んだ人は「全然普通の紅茶の味との違いがわからない」とグビグビ飲んでいました。
まあ、私の濃茶体験も、そんな感じだったという話です。
だからと言って、お茶の世界には足を踏み入れないように気をつけます。
お茶の世界って、こだわりどころ満載で、私のような一度踏み込んだら命がけのようなタイプの人間が入り込めば、どっぷりはまりこむこと間違いなしだからです。
でもなぁ、あの濃茶のおいしさがわかるようになりたいなぁ。
と、ちょっと思ってしまった。
あぶない。。。