カリスマフードコーディネーターとシャム双生児だった夢
会社で、超VIPをもてなす食事会を開くことになる。
こじんまりした会ではあるが、心のこもった(つまりは手間暇のかかった)もてなしにしたいとの社長の意向。
そして、準備から調理までの全部を私がやることになっており、荷が重いな、と思いながらも、私は準備を進める。
社長は細かいことにいちいちチェックをしてくる上に、準備が順調に進まないとイライラしている。
明日の料理の材料を、近所の自然食品の店で仕入れなければならない。
そこのお店は、女店長が仕切っていて、とても繁盛しており、商品に妥協がない。
でも、気がついたらもう夜の9時で、早く頼みに行かないと明日の納品に間に合わないと思い、私は焦る。
電話をしたが、なかなか通じず、私は直接店に行って、カリスマフードコーディネーターと呼ばれる店長に頼もうと思う。
レストランも併設しているその店は、ひいきの客でごった返しており、店長はてんてこ舞いでなかなか話しかけるチャンスがない。
店員に、店長と話をしたい旨伝えると、
「最近店長は、今までの自分は偽りの自分だったことに気が付いてしまって、疲れてバランスが悪いのだ」
と、聞かされる。
客はわがままで、態度が悪く、店員はその対応で疲弊している。
そこにようやく店長がやってくる。
私は、ふと、彼女の手を握ってあげたいな、と思う。
その衝動を隠しながら、野菜を仕入れたいと話す。
でも、店長は上の空で、どこかへ行ってしまう。
私は野菜が仕入れられなかったら、明日の食事会に穴を開けてしまうことになると思って、さらに焦る。
しばらくして、一段落した店長が戻ってくる。
今度はちょっと落ち着いていて、向こうから私の手を取ってきて、さらに私の前方に後ろ向きで座り込み、すっぽりと私が彼女を後ろから抱き抱えるような体制になる。
彼女の後頭部には、虹色の丸いオーラがキラキラして光っている。
前世が見られるスタッフがいて、私たちはかつて、インドあたりで生まれたシャム双生児であり、そのときは足が不自由だったと聞かされる。
懐かしさがこみ上げる。
私はさらに愛情を込めて、彼女の冷たい手を握ってあげる。
「ねぇ」
と、ためらいがちに彼女が言う。
「これから先、そう長く生きるわけじゃないでしょう? 頑張っても、せいぜい40年。
これからは、もっと、好きな人だけに想いをかけて生きていきたいんだけど、そうしてもいいのかな?」
「もちろんだよ!!」と、私は答える。
野菜の発注はもうどうでもいいや。
どうせ夢だし、目が覚めたら、必要ないんだからと思っている。